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第三章 「電脳覇者バリュースターNX」 |
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ラヴィのコクピットは狭い。二人乗りはやはりキツい。
ウィンはエリに抱かれるようにその空間に納まっていた。
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この世界における解説 |
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現実世界における解説 |
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(はぅぅ、なんかどきどきする。熱暴走しそうだ。)
高性能サポートドロイド・ウィンは初めて感じる胸の高鳴りに自分を見失いそうになっていた。
エリの方はウィンをあまり男性とは意識しておらず、むしろ弟ぐらいにしか思っていなかった。
「やっぱりキツかったね。ごめんね。」
「あ、いえ大丈夫です。このままでも...」
バリュースターの行方をラヴィのレーダーで追っていたチャムから通信が入る。
「バリュースターの行方が分かりました。南極への進路を取っています。」
モニターにナオが現れる。
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熱暴走 |
自分で暴走しそうだと言ってるあたりまだ冷静といえるかもしれないが、ウィンにとって初めて体験するこの感情は理解不能であろう。 |
CPUは動作中に高温の熱を発生する。あまりに高温になりすぎ、動作がおかしくなる状態を熱暴走したという。熱暴走を防ぐため、通常CPUには熱を冷ますためのCPUクーラーというものが取り付けられている。 |
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「各員そのまま聞いて、先刻、本社から緊急メールが来たの。南極のゲートからバグが地球側に侵入してるらしい」
「ナオちゃん、それじゃあ・・」
「そう、私たちは最優先で迎撃にむかわなきゃならない。」
彼女たちは武装の許可と引き替えにいくつかの義務も背負っていた。
有事の際は何よりも最優先でバグの迎撃に当たらなくてはならないのだ。
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メール |
異界にいる間は元の世界とは直接通信を行うことがができないため、プロバイダ経由でデータ通信を行う必要がある。 |
電子メール(E-Mail)。パソコン同士でメッセージをやりとりできるシステム。最近では携帯電話や携帯端末、家庭用ゲーム機などパソコン以外でも電子メールを送れる機器が多数ある。 |
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「現地では国連の部隊と民間業者が共同でファイヤーウォールを展開中・・・」
ナオが溜息をつき前髪をかき上げる。
「つまり私らは一番やばいところに向かっているのさ。」
「でも地球に戻るためにもいかなきゃならないんです。現在使用可能なゲートは南極だけなんですから・・・」
三機のラヴィは南極を目指す。
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ファイヤーウォール |
国連軍と武装を許可された民間業者による、バグ対抗の精鋭部隊がとる作戦行動を指して「ファイヤーウォール」と呼んだ。 |
ネットワーク上のセキュリティシステムのこと。企業が社内LANとインターネットなどの外部ネットワークとの間に設置し、認められざる者の侵入を防ぐ役割を持つ。 |
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